Blog2024.010.07

■タクシー事業者が行う日本型ライドシェアとは?
皆様、こんにちは!本日はタクシー事業者が行う日本型ライドシェアについてです。少し前の自民党総裁選の中でも、公約に取り上げる議員の方もいらっしゃいましたが、改めてどのようなものかご説明いたします。
タクシー事業者が行う自家用車活用事業は、タクシー業界が自家用車を活用してライドシェアサービスを提供する形式の事業です。
これには、タクシー業界が持つ既存のインフラやサービス提供のノウハウを活かしつつ、自家用車を活用することで新たな顧客層にリーチできるというメリットがあります。ただ私たちが営業している名古屋交通圏では時間が非常に短いこともあり、あまりご存知ない方も多いのが現状です。(実は名古屋交通圏ではタクシーが比較的充足しているというデータもございます。)
事業を行うメリットについて
1.既存のインフラとノウハウを活用できる
タクシー事業者はすでに運行管理システムや配車アプリ、乗務員の研修制度などのインフラを整えているため、これを利用して自家用車活用事業を展開することができます。運行管理やサービスの質の維持などの既存の強みを生かしつつ、事業を拡大することが可能です。
2.柔軟な車両供給とサービスの拡大
自家用車を使うことで、既存のタクシー車両に依存せず、より柔軟に車両を供給できます。特に、タクシー車両が不足する時間帯や繁忙期、特定の地域での需要増加に対応しやすくなります。また、乗務員がタクシー免許を取得していなくても、一定の条件を満たす自家用車のドライバーが参入できるため、タクシー乗務員を始めたいが向いているか確認したい人にもおすすめです。
3.コスト削減の可能性
自家用車を利用することで、タクシー車両の購入やメンテナンス、保険などのコストを削減できる可能性があります。
4.地域に応じたサービス展開
タクシー業界は都市部だけでなく地方でも重要な移動手段を提供していますが、地方ではタクシーの供給が不足する場合も多いです。自治体と連携することにより、自家用車活用事業を通じて、特に地方や過疎地での移動手段を強化することが可能です。地元の住民が自家用車で乗客を運ぶことで、地域の交通インフラを補完できます。
今後の展望について
システムは現状からさらにブラッシュアップを続けていく必要があり、以下はその主な点です。
1.地方交通の改善
日本では高齢化や過疎化が進む中、地方交通の改善は重要な課題です。タクシー事業者と自治体が連携して自家用車を活用することで、地方での交通サービスを強化し、住民の生活の質向上に寄与できるでしょう。地方自治体との協力や補助金の活用も視野に入れた取り組みが求められます。
2.新技術との連携
タクシー事業者が持つ運行管理システムに、AI技術等を導入することで、効率的かつ安全な配車サービスを提供することが可能です。自家用車活用事業においても、これらの技術を取り入れることで、さらなる運行効率の向上が期待されます。
3.観光分野での活用
観光地での需要が高まる中、タクシー事業者が自家用車を活用して大規模イベント時の観光客向けの特別なサービスを提供することも考えられます。言語対応やガイド付きの観光ツアーを提供するなど、観光客のニーズに応じたサービス展開が可能です。
4.グリーン交通と持続可能な成長
自家用車活用事業では、EV(電気自動車)やハイブリッド車を積極的に導入することで、環境に優しい交通手段としての地位を確立できるでしょう。政府や自治体の支援を受け、持続可能な交通インフラの構築を目指すことができます。
現状の課題について
1.運転手の安全性と質の管理
自家用車活用事業では、タクシー運転手ほど厳しい基準がないため、運転手の安全性やサービスの質が問題になる可能性があります。タクシー事業者がどのように運転手を選定し、研修を行うかが重要です。運転手の質の確保と交通安全対策が欠かせません。
2.運転手の待遇と労働環境の整備
自家用車活用事業では、運転手が個人事業主として働くことが多く、雇用保護が不十分なケースが多いです。長時間労働や不安定な報酬体系などの問題が発生する可能性があり、運転手の労働環境の整備が重要です。
3.需要と供給のバランス
自家用車活用事業では、需要に応じた供給を適切に管理する必要があります。特に、地方では運転手が不足し、逆に都市部では運転手が過剰になる可能性があり、地域ごとの需要に応じたサービスの調整が必要です。
タクシー事業者による自家用車活用事業には、多くのメリットがある一方で、様々な課題も存在します。これらの課題を乗り越えるためには、政府や地方自治体との協力、技術革新の活用、運転手の待遇調整など、持続可能な事業運営に向けた多方面からの取り組みが求められております。現在キリンタクシーでは日本型ライドシェアの導入に踏み切っておりませんが、まずは現状のタクシー事業をしっかりと進めてまいります!地域に根付いたタクシー事業の運営に取り組んで参りますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。